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静岡県立沼津西高等学校において書家派遣事業を実施しました(講師 宮本博志先生 令和7年12月13日)


 日本書道文化協会では若い世代への伝統的な書道の普及を図るため、高等学校への会員書家派遣事業を実施しております。
 令和7年度最初の派遣事業として令和7年12月13日(土)に、芸術科書道専攻というコースを設置し多くの書道展で優秀な成績をおさめるとともに書道パフォーマンスの実施などでも活躍している静岡県立沼津西等学校において、本協会の宮本博志先生を講師に実施いたしました。今回の実施状況について、沼津西高等学校書道部顧問の風岡将平先生から実施状況の報告とコメント、写真をいただいておりますので、掲載いたします。

1. 開催概要
• 日時:令和7年12月13日(土) 13:00~16:00
• 場所:静岡県立沼津西高等学校 芸術棟 第一書道室
• 講師:宮本 博志 先生(毎日書道会監事、書燈社理事長、日本詩文書作家協会理事長)
• 目的:漢字仮名交じりの書の表現における知識を深め、実技を通して技術の向上を図る。
2. 参加状況
• 生徒参加数:計10名
    1年生:3名  2年生:4名  3年生:3名  
• 参加高校名:静岡県立沼津西高等学校
3. 講習内容
 講習は宮本先生による理論の解説から始まり、後半は一人ひとりへの丁寧な実技指導が行われました。
①講話・理論
 「漢字仮名交じりの書 創作のステップ」
・宮本先生は、漢字仮名交じりの書の創作を「①考える」「②書く」「③話す」の3つのステップに沿って解説くださいました。
「①考える」:書く言葉を探す、紙面構成、表現したいイメージ
「②書く」:試作、鑑賞者に感動を伝える技術の習得、仕上げ
「③話す」:工夫した点を紹介、相互評価、共感を得られたか
 さらに、この3ステップに加えて、詩文に出会い味わう楽しさ「感じる」という視点を大切にしてほしいとご講義いただきました。
② 作品鑑賞会(事前課題)
・事前に取り組んだ課題を黒板に掲示し、鑑賞会を行いました。生徒が自身の制作意図を述べた後、宮本先生から個別に講評とアドバイスをいただきました。
③ 模範揮毫・実技指導
・生徒がそれぞれ選択した課題に対し、宮本先生が一人ひとりに模範揮毫、技術指導をしてくださいました。先生の筆運びを間近で拝見することで、筆圧や運筆速度の変化、そして字形の変化を実践的に学びました。
④ 作品鑑賞会(事後比較)
・講習を受けて制作した作品と、講習前に書いた作品を並べて鑑賞会を行いました。生徒たちは自作品の解説に加え、今日学んだことや他の生徒の成長した点などを発表し、互いの学びを共有しました。最後に宮本先生より総評をいただきました。
4. 課題作品
 参加者は以下の課題に取り組み、半切1/3や全紙1/2の作品サイズを基本に、思い思いの形式で表現に挑戦しました。
 •全員課題
 「何色だ 答えまだない しゃぼん玉」(おーいお茶 俳句より)
 •選択課題(各自1題選択)
  「土器破片 みがく子に舞ふ 夏の蝶」(鍵和田 秞子の句)
  「秋となった 雑草にすわる」(種田 山頭火の句)
  「雪の朝 紅を散り敷く 寒椿」(暮里の句)
  「生きることは一筋がよし寒椿」(五所 平之助の句)
  「からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ」(北原 白秋の詩)
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参加者の声
生徒のコメント
「宮本先生の筆運びを目の前で見て、点画の抑揚や残された白の美しさを改めて実感しました。アドバイスをもらうと自分の作品が劇的に変わってとても嬉しかったです。」書道部1年生
「詩や句に対する考え方が変わりました。実際に口に出して詩や句を詠むことで、自分なりの呼吸やリズムをつかむことができ、それを構成や表現に繋げると、とても作品が書きやすくどんどん制作にのめり込んでしまいました。自分の感じたことを詩や句にして、更に書作品にできたらもっと楽しいのだろうなと思いました。」書道部2年生
「運筆のリズムがとても勉強になりました。遅速緩急、特にゆっくり筆を動かすと、点画が書の線になり、焦らず自分の書きたい構成、字形を表現することができました。教えていただいた俯仰法や体の使い方は、何度も反復練習をして身に付けたいです。」書道部2年生
「文字のデフォルメについて学びました。私は字書で引いた文字をそのまま使ってしまうことが多かったので、元の良さや特徴を残しながらも大胆にデフォルメすることの楽しさ、自由さを学びました。同じ文字でも何度も書いて、自分なりの字形や詩文や表現に合った字形を見つけていきたいです。」書道部3年生
「宮本先生の詩文を「感じる」という言葉がとても印象的でした。日常生活の中にも詩文と出会う機会がたくさんあり、一つ一つに作者の思いがあるので、それをしっかりキャッチできる「感じる」心を持ちたいと思いました。」書道部3年生

顧問(風岡将平)のコメント
「第一線でご活躍されている宮本博志先生から直接ご指導いただける大変貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。生徒たちは言葉の意味を深く考えながら、自分らしい表現を模索する姿が印象的でした。また、宮本先生には生徒からの質問にも一つひとつ丁寧に答えていただき、日頃の悩みや課題を解決するきっかけとなりました。今後の作品制作に活かすことができる大変貴重な機会となりました。」

宮本講師による講話

宮本講師による実技指導①

宮本講師による実技指導②

宮本講師による模範揮毫①

宮本講師による模範揮毫②

生徒による作品制作①

生徒による作品制作②

宮本講師、生徒による作品鑑賞会

宮本講師による作品講評

参加者全員による集合写真