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埼玉県本庄東高校において書家派遣事業を実施(3月14日 講師 土橋靖子常務理事)


 日本書道文化協会では若い世代への伝統的な書道の普及を図るため、高等学校への会員書家派遣事業を実施することとしています。令和4年度事業では昨年10月の熊本県立御船高校(高木聖雨講師)に続いて2校目の実施です。
 令和5年3月14日(火)に、書道の全国大会などで輝かしい成績を上げている埼玉県私立本庄東高等学校において、本協会の土橋靖子常務理事による派遣事業を実施しました。
 当日は、書道部の生徒18名を対象に土橋講師から、「仮名の魅力・書の魅力」と題して、講話(変体仮名、料紙、仮名の書き方)、作品の鑑賞、様々な形の模範揮毫が行われました。出席した生徒からは様々な質問があり、また終了後も自分の作品への講評を講師にお願いするなど積極的に取り組んでいました。


書道部顧問の池田和嘉子先生のコメント
 土橋靖子先生を講師としてお招きするのは、かねてからの念願でした。
 制作者が作品に込めた思いや、練達の筆致、変化の妙が織りなす生の息遣いは、実際の作品を目の前にして観るからこそ受けとめることができるのだと思います。
 個別指導では、土橋先生から客観的なご講評をいただくことで、生徒たちは表現の多様性や書の奥深さを学び、新たな課題を発見することができました。中でも、「鳥の目、虫の目、魚の目という三つの視点を持つことが大切です。」というお言葉は、書に限らず物事の本質を多角的に捉えるためには、見方が大切なのだという具体的理解に至りました。
 書道での学びは、書の表現に留まりません。書道という一つの道で培った姿勢や考え方は、どんな道にも通じていて、どんな道でも応用できるはずです。講演会での学びが、生徒たちの未来、長い人生においても大切な軸となり、無限の可能性を切り開いてゆくと期待しています。
 土橋先生には、講話・作品鑑賞・模範揮毫・個別指導と、長時間にわたりきめ細やかなご対応をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。


書道部部長の新井妙野さんのコメント
 土橋先生の揮毫を間近で拝見し、筆の開閉と運筆のリズムや墨の濃淡と潤滑による巧みな線質表現に引き込まれました。先生が筆を持った瞬間、その場の雰囲気が変わりました。大字仮名の揮毫では、一筆目から力強く、筆を素早く走らせている姿に最後の一筆まで目が離せませんでした。他者の多くの目がある中でも、作品を書き終えるまで一切集中が途切れない姿に圧倒されました。
 先生は私たちのために、鑑賞用としての作品をいくつかご用意くださいました。先生ご自身が揮毫された「古今和歌集仮名序」の巻子と「三十六歌仙の歌」の粘葉本の作品では、華麗な文様や金銀の装飾が施された料紙の手触りを実際に体感させていただくことで、日本の伝統技術に目を向けて深く理解するきっかけを得ることができました。書は、日本の四季を表現し、伝統的な技術を伝え、後世に残し、人々に感動を与え続けるものなのだと実感しました。



土橋靖子講師のコメント
派遣事業・講習会を終えて
 本庄東高校にお邪魔し、久しぶりに高校生との交流ができましたことは、私にとっても大変新鮮で楽しいひとときでした。
 生徒の皆さんからは、やや緊張した中にも、一言も逃すまい、見逃すまいという気迫が伝わり、こちらもしっかり発信しようという覚悟ができました。
 案の定、最後の質疑応答では、本当に内容のある質問が数々出て、うれしくも頼もしい思いでした。
 さらに、その後の感想はまさに驚きでした。私自身、夢中で講習会に臨み、日頃考えてること、思いを話し、また筆を持ちましたが、その中で、たとえば揮毫している最中の私の目線に気づいたり、書を通して文化や自分のこれからに繋げ考えたりなど、しっかり自分のこととして捉えている「学ぶ力」の強さに驚嘆、これを育むことこそが教育の源と感じました。
 これからも、書のすばらしさにふれつつ、書以外のことにも、見て、触れて、感じて、そして考えて、より豊かな日々を送り、将来に向けて大きく羽ばたいて欲しいと思います。
土橋靖子

生徒への講話

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